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今回は、ヤンデレのルークです。
ちなみに、ここでは嫉妬心はんぱないルーク、猟奇的行動に出るルーク(抜刀したりします。)自分を傷つけるルークをヤンデレと呼んでます。
ヤンデレに関して解釈が違う方、そんなルークは無理と言う方はブラウザバックをお願いします。
※今回は前編なので、上記表現は出ておりませんが、後編では出てきますので、ご注意ください。
「つづきはこちら」から小説になります。
TOW2設定です。
ちなみに、ここでは嫉妬心はんぱないルーク、猟奇的行動に出るルーク(抜刀したりします。)自分を傷つけるルークをヤンデレと呼んでます。
ヤンデレに関して解釈が違う方、そんなルークは無理と言う方はブラウザバックをお願いします。
※今回は前編なので、上記表現は出ておりませんが、後編では出てきますので、ご注意ください。
「つづきはこちら」から小説になります。
TOW2設定です。
「ルーク、起きてるか?」
ユーリはホットココアと軽食を載せたトレイを持って、ルークの部屋へと入る。
部屋は日の光がさして、心地いい暖かさだった。
これなら、今日は大分調子がいいのではないだろうか、とユーリはルークのいるベッドに視点を合わせる。
けれどそこには、ベッドの上で上体だけを起こし、短刀をもつルークがいた。
そしてそのまま自分の手首にナイフを添えるルークに、ユーリの背筋をゾクゾクとしたが寒気が駆けのぼった。
「おいっ、ルーク!やめろ!!」
そう言ってユーリは、ルークの手に握られていた小さなナイフを弾き飛ばす。
ルークの手を叩いたつもりだったが、若干刃に触れてしまったらしく、ユーリの手から一筋の赤い雫が流れ落ちた。
「ユーリ……。」
叩かれた手のひらを、もう片方の手でさすりながら、どこか生気のない声音と瞳で、ルークはユーリを見上げた。
「………。」
ユーリはその瞳を正面からとらえることができずに、何処か逃げるように視線を逸らした。
ルークの明るい笑顔を奪ったのは、自分だからだ。
数週間前に一人で請け負った依頼は、そこまで難しいものではなかった。
たかが魔物の討伐。
メスカル山脈と場所は厳しいものではあるが、いつもより討伐の内容自体は軽かった。
本当はルークと二人で一緒に行くはずだったけれど、ルークは公務が入ってしまいユーリは一人で行くことになったのだ。
ルークがいくらユーリでも、一人は危ないから他の誰かを誘ってくれと言っても、ユーリは大丈夫だの一点張りで、結局一人で出かけてしまった。
突然のドタキャンに、少し大人げなく拗ねてしまったのもある。
結局仕事自体はこなせたが、いつもよりは時間がかかってしまい、さすがに疲れたな、とユーリは依頼内容を終えてようやく反省を始めた。それとともに、こんな風に自分が拗ねてしまったことに笑いが込み上げてきた。
俺は、自分自身で思っている以上にルークのことを好きなのだろうと気付き、可笑しかった。
「さて、仕事も終わったことだし、恋人のもとにでも帰りますかね。」
ユーリはそう言ってフッと笑うと、急ぎ足でメスカル山脈の下山を始めた。
「きゃぁあぁあ!!」
山の中腹に差し掛かった時、突然女性の悲鳴がユーリの耳に届いた。
「?!」
急いであたりを見回すと、そこには一人の女性が魔物に囲まれていた。
「くそっ!」
ユーリはそれを見つけると、急いで駆け出して女性のもとへと向かった。
ユーリはその場にたどり着くなり、魔物を切り伏せていく。
「あ、あの……。」
ユーリに気付いた女性が何か言おうとしたが「今はこいつらを倒すのが先だ!」とその言葉を一蹴して、ユーリは魔物に向き直る。
女性は僧侶だったらしく、そのまま二人で協力してうようよと寄ってきていたモンスターを一掃した。
「ありがとうございました。」
漸く周りに魔物がいなくなり落ち着いた頃、女性は深々とお礼を言って来た。
「こんなところに一人で来るもんじゃないぜ。次は誰かを雇ってくるんだな。」
自分のことを棚に上げて言うユーリ。
女性はそれに軽く笑うと、「はい。わかりました。」と答えた。
ユーリはそれに同じように軽く笑うと、しょうがないので今回は出口まで一緒に行くか、と考えた。
女性は僧侶だったし、戦力になる。その方が自分にとっても好都合だ。
「俺はアドリビトムってギルドの…」
そうして、声をかけようとしたときに、視界の端に何か蠢くものをとらえた。
すぐさまその方向を見ると、とどめを刺し切れていなかったのか、先ほど倒したはずの魔物が、詠唱を唱えていたのだ。
すぐさま阻止しようと駆け寄ったが、それは遅く、ユーリがとどめをさすより前に、それは女性に向かって放たれた。
「?!」
ワンテンポ遅れて気付いた女性は、もはやよけることはできず、詠唱をくらってしまう。
「きゃぁ!」
その上その衝撃で、女性のいた足場が崩れてしまった。
そのままでは、崖の下まで落ちて行ってしまう。
「っざけんな!」
ユーリはすぐさま引き返して、女性に駆け寄った。
そして女性の手をつかみ、勢いよく崖とは正反対の方向へと引っ張っる。
ドサッと言う音と共に女性は崩れ落ちたが、幸いがけ下に落ちることにはならなかった。
魔術の傷も僧侶の彼女だ、回復させることはできるだろう。
けれど……。
「………ドジっちまったな…。」
その代りに、反動でユーリ自身ががけ下へと落ちてしまっていた。
今は何とか手で岩壁をつかみ体を支えているが、このまま上へ上ることはできそうにもない。
誰かの力を借りるにしても、上にはか弱い女性が一人。
男の自分を持ち上げるなんて不可能だ。
そして下は目もくらむ断崖絶壁。
「……恋人の忠告ってのは、聞いておくもんだな。」
一人で来るのではなく、誰かを誘えば、こんなことにはならなかったかも知れない。
上から女性が今助けを呼んできます!と叫ぶ声が聞こえた。
それまで何とか持ちこたえられるだろうか…。
すでにしびれてきた手の感覚に、それは無理だろうと悟った。
「ルーク……。」
自分がいなくなったら、果たしてあの可愛らしい恋人はどうするのだろうか。
………きっと…泣くに違いない……。
(超がつくほどのお人好しで、優しい奴だからな…。)
ユーリはその光景を思い浮かべてフッと笑うと、岩壁から手が離れるのを感じ取った。
あぁ、落ちる……。
耳には風を切る音か、女性の声か。
高い音が鳴り届いていた。
「ユーリが…、崖から…落ちた?」
ユーリが落ちる前、アドリビトムと言う単語を聞いていた女性は、あの後すぐさま下山すると、アドリビトムに駆け込んで状況を説明した。
私を助けた所為で、と泣き叫ぶ女性を、ルークはどこか遠い出来事のような気分で見ていた。
ユーリが?
まさか、そんなことはあるはずがないとルークは目の前の状況を否定した。
他のギルドのメンバーが、女性を落ち着かせたり、さらに詳しい状況を聞いて対策をたてているのが、全てもやがかかっているようで、ルークには何が起きているのかよく理解できなかった。
けれど、ユーリが崖から落ちたという言葉が、頭から離れない。
「ユーリ……。」
ルークはそれだけ呟くと、後は足が勝手に船の出口へと向かっていた。
そんなはずない、そんなはずありえない…。
「ルーク!!」
一人で船を飛び出そうとするルークに気付き、ティアがその手を引いてルークを止めた。
「ティア、離してくれ。」
「ルーク、落ち着いて、一人で行ってはダメよ。」
諭すように言うティアに、ルークは嫌だと首を振ってつかまれていた手を無理やりほどいた。
「嫌だ!今すぐ行く!!」
「ルーク、落ち着いて!そんなに動揺したあなたが一人で行くのは危なすぎる!」
ルークはティアが正論だと、自分でもわかっていた。
けれど感情は理性とは別物なのだと、今改めて思い知る。
どう頑張っても、この湧き上がる激情が抑えきれない。
「俺が一人で行かせたから!だからユーリは、ユーリは…っ!!だから、俺が助けに行かなきゃいけないんだ!!」
そう叫んでルークは駆け出す。
早く、早く!
引きちぎれそうなほど心で強く叫びながら。
「落ち着きなさい、ルーク。」
そんなルークの悲痛の叫びもむなしく、ルークはジェイドとガイに腕を捕まれた。
「落ち着け、ユーリなら大丈夫だ。まずはしっかりと作戦を練って、それからだ。」
「嫌だ!今すぐ行く!!」
ルークは出せる限りの力で二人の腕を振り払おうとしたが、ティアの時のようにうまくはいかず、しまいには二人がかりで抑えられ、身動きすらとれなくなった。
「離せよ!ユーリが……ユーリが!!っく……離せよ!!」
「………。」
それでももがきながら必死に叫ぶルークに、二人は何も答えることはできなかった。
「シェイド、ガイ!!なんで邪魔するんだ!!離せ!!……離してくれ……、離せよ…っ!!。」
最後はすがるような声だった。
「ルーク……、すみません。」
必死に抵抗し続けるルークに、ジェイドはそう言うと手刀を食らわせた。
「?!」
その衝撃に、今まで抵抗していたルークの動きが止まる。
そして体全体から力が抜けたルークは、そのまま崩れ落ちた。
嫌だ…。
嫌だよユーリ……。
ルークはだんだんと遠のいていく意識の中、ただそれだけを考えていた。
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