Fe.F. ぷち小説※ヤンデレユーリ注意7 忍者ブログ
 
日記
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毎回のごとく、ヤンデレのユーリです。

ちなみに、ここでは嫉妬心はんぱないユーリ、じゃっかん乱暴をするユーリをヤンデレと呼んでます。
ヤンデレに関して解釈が違う方、そんなユーリは無理と言う方はブラウザバックをお願いします。

今回のぷち小説は、前回のヤンデレユーリ6の続きになります。
一応、ユーリとルークは付き合っていて、ヤンデレユーリのことをルークは怖がっている。
と言うことだけご理解いただければある程度読めると思いますが、ご注意ください。

また、当て馬のようにロイドが出てきます。
それは無理!と思った方もご注意ください。

「つづきはこちら」から小説になります。
TOW2設定です。

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「どうしたんだ?ルーク、こんなところで一人たそがれて。」

一人でぼんやりとバンエルティア号の甲板で夕焼け色に変わった海を眺めていたルークは、突然呼ばれて、ふぇ?と間抜けな声を出して振り向いた。

「しかもすっげー間抜けな声だな。」

そうロイドに声をかけられてルークは力なく笑う。
いつもなら「なんだと」なんて言い返してくるはずなのにと、ロイドはルークのその態度に拍子抜けしたと同時に、違和感を感じた。

「……何かあったのか?ルーク…。」

ロイドの問いに、ルークは答えなかった。
「何にもないよ。」と答えたいのはやまやまだったけれど、今自分が抱える気持ちを誰かに話したいのも確かで、すぐには言葉が出てこなかったのだ。

「なんだよ水臭いな。俺でよかったら話聞くぜ?」

そう言って今は水平線から半分だけ顔をのぞかせる太陽のように、優しく笑うものだから、ルークはその優しさについほだされてしまった。

「ロイド……。」

ルークは真剣な面持ちでそう言うと、一度だけ目を伏せて考え、そのあと意を決したように話し出した。

「あの、さ。今日、町で……。」






そうして、今日のユーリと出かけた時の話を始めたルーク。

「ユーリは、俺のこと助けてくれたんだ。だから、こんなこといったらダメだって思うんだけどさ……でも…。」

今でもユーリがあの大男の顔すれすれのところに剣を突き刺した光景が忘れられない。
思い出すだけで、背筋がぞくっとするのが解った。

「ユーリは俺のこと心配して、かばうために剣を抜いたんだ。でも、俺……怖くて……。」

うっすらと涙を浮かべながら話し続けるルーク。
今も昼間の光景を思い出したのか、自分の肩を抱きしめながら、なんとか震える体を落ち着かせようとしている。
声もどんどんと小さくなっていき、今にも消えてしまいそうだった。

「ユーリのこと、怖いと思うなんて……、俺……最低だ……。」

最後は本当に消えるようにつぶやくと、ルークはそのままうつむいてしまう。
前髪で隠れてしまった瞳から、ぽたぽたと雫が流れ落ちていくのを見て、ロイドはルークがどれだけ苦しんでいるのか思い知った。

大好きな人が怖い、なんて、そんなにつらいことがあるだろうか。
自責の念と、それでもぬぐえない恐怖に板挟みにされ、ルークの心はこんなにも弱っている。

「一回、ユーリから離れてみたらいいんじゃないか?」

それは、ロイドの口から自然にこぼれた言葉だった。

「無理して近くにいるより、一度距離を置いて、落ち着いてからの方が絶対いいって。今気持ちが落ち着かないままずっとそばにいても、なんかうまく言えないけど、いい方向にはいかないと思うぜ。」

ロイドは言いながら、自信を抱きしめて震えていたルークをそっと抱きしめた。
なかなかどうして、ルークは見ていると、だんだんとほおっておけなくなってしまうから不思議だ。

「でも、俺、ユーリのこと凄い憧れてて、ユーリみたいなみんなに人気なやつ、俺から離れたら、もう二度と相手にしてもらえなくなっちまうよ…。俺なんかに、告白してくれただけでも、すげぇ奇跡みたいなのに……。」

ロイドのぬくもりに安心したのか、ルークは先ほどまでよりもより本音に近い言葉をぽろぽろと漏らし始めた。
そしてそのルークの言葉にロイドは顔をしかめる。
「お前、本当に卑屈だよな。」

その言葉にビクッと震えるルーク。
何のトラウマなんだろうか。ルークは自分のことを酷く蔑にして下にみる癖がある。

「俺……。」

言葉に詰まったルークに、ロイドは言い聞かせるように言う。

「ルークはさ、この船のみんなにちゃんと愛されてるんだからさ、肝心のお前が自分のことをそんな風に言ったら、みんなに失礼だろ。」

「みんな?」

何のことを言ってるか解らないと言う顔をするルークに、ロイドはさらに続ける。

「みんな。全員。っつーかユーリに負けないくらい、いや、ユーリ以上にお前のこと好きなやついっぱいいるんだぞ。」

「ロイドって、優しいよな。……ありがと。」

慰めで言われたと思ったルークは、そう言って笑い返す。
ロイドはそれに軽い溜息をつくと、一回で分からせるのはまぁ無理かと判断して、とりあえず自分がどれだけルークのことを好きかを解らせることにした。

「別に気を使って言ってんじゃなくてさ。……まぁ、みんなってのはすぐに信じられないかもしれないけど、俺はルークのこと、ユーリにも負けないくらい大好きだぜ。」

そう簡単に言い切るロイドに、ルークは顔に熱が集まっていくのが解った。

「そ、そ……そっか。……あ、ありがとな。」

「おう!」

照れてしまった自分の方が恥ずかしくなるくらい、明るい笑顔で平然と返してくるロイド。
けれどその明るさが、ルークの気持ちをひどく癒してくれた。

「距離…か……。」

ルークはかみしめるように呟く。

「そうそう。いったん落ち着けばいい案も出てくるって。」

「そう、かもな。」

言いながらルークはゆっくりと目を閉じる。
未だ抱きしめられたままなので、視覚を遮るとロイドの心音がより近く感じられた。
それはとても心地よくて、ルークは自分の心がロイドに相談する前よりも、ひどく落ち着いているのが解った。

「それにさ、それでもしユーリに嫌われたんなら、俺がルークのことユーリ以上に愛してやるよ!」

そのまっすぐな言葉に、一瞬目を丸くするルークだったが、すぐに笑顔が自然とこぼれてきた。

「はは、なんだよそれ。」

「本当だって、別に俺は今すぐにだって「ルーク。」





そんな、ようやく固くなった心が解れてきたときだった。


ルークの、最愛の人の声が聞こえた。






二人そろって甲板の入口を見ると、そこには愛刀を携え、黒い長髪をなびかせる青年が一人。

その姿を視界にとらえて、ルークの体が強張った。

抱きしめていたロイドは、それを感じ取ってユーリを軽く睨み付ける。

「おいロイド、お前、人のモノに手ぇ出してんじゃねーよ。」

口元だけを笑わせながら、ユーリは下にさげていた愛刀を肩に乗せた。後は振り下ろしながら鞘を吹き飛ばせば、その綺麗に磨かれた刀身が現れる。

「モノ?ルークはモノじゃないぜ、ユーリ。」

「はっ、バカか?お前。ルークは俺にだけ愛されて、愛されて、愛される、俺だけのモノだ。だから、ルークが俺以外のことを考えたり、俺以外の人間と会話したり、俺以外の人間に触れられちゃいけねーんだよ。」

よどみなく言い放つユーリに、ロイドはギュッときつくルークを抱きしめた。ルークは今、ユーリを視界に入れたまま動けないでいる。
今のユーリに、ルークを渡してはいけない気がした。

「その気持ちはルークにだって届いてる。解ったから、今はそっとしておいてやれよ。ルークだってこんなに怯えてるんだ。解るだろ?」

ルークは無意識に抱いてくるロイドの服を握りしめていた。それが余計にロイドの庇護欲を駆り立て、ユーリの感情を湧き立たせた。

「ルーク!!」

ユーリに怒鳴るように呼ばれ、ルークは体をビクッと震わせる。
そしてその威圧的なまなざしに、ユーリの言わんとしていることを感じ取ったルークは、ロイドの腕をすり抜け、そしてロイドからユーリの方へと歩き出した。

「ルーク!」

それに対して、今度はロイドが離れていくルークの腕を引き止める。

「!」

その力に引っ張られ、ルークの動きが止まった。

「ロイド……。」

振り返ったルークは、眉尻を下げ、泣きそうな瞳なのに口元だけは笑っていて…。
本当にどうしていいのか解らない、と言う顔をしていた。

「ルーク……。」

そうして見つめあったまま動かない二人に、ユーリはしびれを切らしたのか、ついに持っていた剣の鞘を抜いた。

バシッ!と叩きつけられるような音に、二人は振り返って反応する。
そしてその光景を見たルークは、震えあがった。

とたんに昼間の出来事がフラッシュバックする。

(危ない!!)

そう思ったルークは、すぐにロイドの手を振りほどいて、そのままその赤い服の親友を突き飛ばした。
バランスを崩したロイドが倒れこむと、今まで二人で手を繋いでいた位置で、シュッと空を切る音がする。

「あーあ、……なんで逃がすんだよ、ルーク。もうちょっとでお前に手を出そうとした奴を制裁できたんだぜ?」

至極残念そうに自分の刃を眺めながら言うユーリに、ルークは震える体を何とか落ち着かせて答える。

「ひ、昼も…言っただろ…。ユーリが、……汚れるの、嫌、なんだ……。」

ルークのその答えに、ユーリは至極満足そうに笑った。
その表情に、ロイドは察した。
ユーリは、わざと自分への攻撃を外したのだろうと。

「へぇ、汚れるんだ。俺がロイドを切ると。」

「………。」

再び体が震えるのを、ルークは両腕をかき抱くことで、何とか耐える。
ロイドを何とか助けなければ。
それしか頭になかった。

「なんで汚れるんだ?言ってみろよ。」

その言葉に、ルークはハッとする。
それは、言えることではなかった。
それもロイド本人の目の前で……。

「昼間言ってくれた事と同じなんだろ?なぁ、言ってみろよ。汚れてる人間を切ると、俺が汚れるんだろ?」

楽しそうに言いながら、徐々に声音を強めるユーリに、ルークは苦しそうに顔を歪めた。

「ロイドが汚れてて、俺が綺麗だってことだろ?なぁ、ルーク?」

どんどんとルークを追い詰めていくユーリに、ロイドは頭にカッと血が上るのが解った。
それを言わせるために、わざと自分を傷つけなかったのだ。
上手くダシに使われた自分にも腹が立つが、それ以上に心はユーリに憤りを感じている。
あんなにもルークが苦しんでいるのに、どうしてまだ追い詰める必要があるんだ!
そう思いながら立ち上がり、今まさにユーリに殴りかかろうとした瞬間、ルークの声が耳に届いた。

「ロイド!」

その呼びかけに、ロイドの動きがピタリと止まる。

「ロイド……ごめんな……。」

そう言ってルークは悲しげに微笑むと、ユーリの方を見て言うのだ。

「ユーリの言うとおり、ロイドのこと相手にするとユーリが汚れちまうからさ。だから、ダメだよ、ユーリ。」

「はは……くくっ……そっか、そうだよな。」

ルークの答えに、満足そうに笑いながらユーリは答える。
そしてルークの手を取ると、自分の方に引き寄せた。

「ならお前もロイドなんかに近づくんじゃねーよ。お前が汚れちまうだろ?」

「………うん。」

ユーリの言葉をかみしめて、ルークはゆっくりと頷いた。
それは、ルークが選んだ瞬間だった。

その一言で、ルークは船の仲間よりも、ユーリを選ぶと決めたのだ。

「じゃぁ行こうぜ、ルーク。」

ルークを抱き寄せ、そのまま連れ立って甲板を出ていく二人。
そして先にルークを船内に入れ、ユーリは残っているロイドに射殺せる程の視線を向けると、「二度とルークに話しかけるな。」とだけ言い放ち、船内へと戻っていった。


一人だけになった甲板で、ロイドは一人こぶしを握りしめた。
誰も傷つかないようにと、ルークはユーリを選んだ。ルークにあんな決断をさせてしまった要因に、間違いなく自分は入っている。

「ルーク………ごめんな……。」

謝っても謝っても、その声は二度とあの赤毛の少年には届かない。

「ごめんな……。」



日はすでに沈み、あたりには静かな暗闇が訪れていた。

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