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ちなみに、ここでは嫉妬心はんぱないユーリ、じゃっかん乱暴をするユーリ、常識的ではない行動をするユーリをヤンデレと呼んでます。
ヤンデレに関して解釈が違う方、そんなユーリは無理と言う方はブラウザバックをお願いします。
また、基本的にユーリがルーク以外のキャラに冷たいです。
それは無理!と思った方もご注意ください。
そして今回は、いつもと違い
ヤンデレユーリ→←長髪ルーク(自覚なし)です。
ルーク総受け傾向が好きな方は、今回正反対の描写がありますのでご注意ください。
「つづきはこちら」から小説になります。
TOW3設定です。
「ルークって、ほんっとうに我儘。」
「こっちが気を使って言っているのに、どうしてあんな風な態度しか取れないのかしら。」
「いい加減構う気も失せるっつーの。」
「というか、お前もとよりかまう気ゼロだろ。」
「あ、ばれてたー?」
食堂では、今その場にいない赤毛の少年への陰口が叩かれていた。
みんなその某国の王族の横柄な態度に辟易しているのだろう。
ユーリはそう思いながら自身も食堂へと入っていく。
「あ、ユーリ。クエスト帰り?お疲れ様―。」
「あぁ、お疲れさん。」
軽く言葉を交わしながら、ユーリは本日の夕食を取り分けて貰い席に着く。
「で、あのお坊ちゃんの悪口か?」
ユーリのと問いに、全員一瞬驚いた顔をするものの、すぐに苦笑するような顔になった。
「だって、ねぇ。」
「さすがに、な。」
少し悪びれた態度をしめすものの、さすがにこれはしょうがないだろうと全員が全員をフォローした。
「それにさ、一番被害をこうむってるのはユーリだろ。」
「そうそう、次はあそこに連れて行けとか、お菓子つくれとか、さんざん命令されてんじゃん。」
「偶には自分でやれよなーって思うよ、さすがに。」
そんな仲間の声に、ユーリは黙って食事を勧める。
と、そこに今話題の中心にいる、赤毛の少年がやってきた。
「はぁ…腹減った~。」
そうぶつくさ言いながらやってきた彼に、本人に聞かれたくはない会話をしていたメンバーは急いで口を紡いだ。
「んだよ、今日の飯もしょぼいな。」
せっかくクレアやリリスが作ってくれたご飯を、あいつなんだとおもってるの?!
そう言ってやりたいのをぐっと堪えながら食堂に居るメンバーはルークの動向を目で追った。
「しかも人参入ってやがるし……。」
ルークはそう言って苦々しい顔をすると、あたりを見回す。
そして今まさに彼の悪口を言っていたメンバーたちに焦点を合わせると、トコトコと近づいてきた。
急に近づいてきた話題の少年に、まさか陰口を言っていたことがばれたのかと、全員焦って視線を逸らした。
「おいユーリ、これやるよ。ありがたく受け取れよな。」
ルークはそんなメンバーの態度を気にも止めずに、ユーリのところに一直線に近づくと、スプーンを使って人参だけを綺麗にユーリの器に移し替えた。
ユーリはその一連の流れを動じずにただ受け入れる。
そんなユーリの態度を見て、周りにいる人間がユーリが大人で言い返さないのをいいことに好き勝手して…と逆に憤りを募らせた。
周りの人間の目つきがきつくなる中、ルークは平然とユーリの隣に座ると、食事を始めた。本当にこの少年はどこまで図太い神経をしているんだと、食事をするルークを侮蔑するような目で眺める。
けれどその食事をする所作はとても美しくて、それを見て、この人間は貴族なのだと改めて実感させられた。
「………なにじろじろ見てんだよ。」
さすがに大人数にじろじろと見つめられながらの食事に嫌気がしたのか、ルークはそこで漸く周りの人間を威嚇する。
「………。」
そう言われて初めて、ユーリとルークを取り囲んでいた者たちは自分たちがルークから目を離せなくなっていたことに気が付いた。その食事をする所作がとても美しくて、いつの間にか見とれていたなんて……。
悔しくなって、なんでも無いと言って、全員足早に去っていく。
「………んだよ、あいつら。」
「そう言う態度してるからだろ。」
ルークの言葉に、今まで黙っていたユーリが返事を返す。
「そう言う態度ってなんだよ!あいつらが俺の事勝手に嫌ってるだけだ。」
声を少し大きくしてルークは反論すると、ユーリにそっぽを向けるように顔を大きく反対側へと向けた。
「はいはい、だからその態度だっつの。」
ユーリはルークの蕪村な態度も軽くいなして、自分のスプーンに人参を乗せる。
そしてルークに声をかけると、それを口の近くへと持っていった。
「!!な、何すんだよ!!」
驚いたルークはそう言って体を後ろへとそらせる。
「何って、人参食わせようとしてんだよ。」
しれっと言うユーリに、ルークはまた大声を上げて反論する。
「んなことみりゃぁわかるっつの!だから、何で俺に食わせんだよ!俺はそれが嫌いなんだよ!!」
「この人参はな、農家の人たちが、毎日毎日休みもせず一生懸命作ってくれたものなんだ。」
あくまでも反論してくるルークに、ユーリはルークの瞳をじっと見つめてそういった。
「手を土で汚して、毎日毎日手入れをして、愛情を込めて作ってくれたものなんだ。」
「んだよ…だからなんだってんだ。」
「そんな人たちの気持ちを踏み躙んのか、お前は。」
「……………。」
視線を一切そらさず、ずっと自分を見つめたままそう言ってくるユーリに、ルークはばつが悪くなって顔を逸らした。
人参は嫌いだ。でも、この食べ物が、そうやって人の手がたくさんかけられて作られているなんて、知らなかった。
「……じゃぁ、…このジャガイモも、たまねぎもか?」
ルークは素直にその疑問を投げかける。
「野菜だけじゃねぇ、肉も、お前の嫌いな牛乳も、全部人の手間と愛情がかけられて出来てんだよ。それに、それを調理した人間の愛情もな。」
「……そっか、…悪かったよ。」
ルークはそう言うと、ユーリが差し出してきていた人参に、ぱくりと食いついた。
「…っ。」
ぎゅっと眼をきつく閉じてその味に耐えるルーク。
けれど吐き出しはせずに、何とかそれを飲み下す。
「やっぱりまじぃ……。」
げぇ、と言う顔はするものの、ルークはそれを全て飲み込んだ。
「なんだ、やれば出来るじゃないか。」
ユーリはルークの頭を撫でると、優しく笑いかけた。
「!!」
そんなユーリの優しい動作が照れくさくなって、ルークはユーリの手を払いのけると、子ども扱いすんな!!と言ってまた声を荒らげる。
「……でも、食べ物そんな風に作られてるって、教えてくれたのはユーリが初めてだ……。……ありがとな…。」
最後は本当に小さく、聞き取れるか取れないかの声だったが、ユーリの耳にはしっかりとその声が届いた。
そしてまたルークの頭を撫でる。
「……お前だけだ、俺にそう言う、きっと普通は当たり前のこと教えてくれんの。この間街に出かけたときも、お金の払い方とか教えてくれたし。その前にも…。」
みんな、何かを知らないと言えば不思議そうな顔をして、そしてその後すぐに顔をしかめた。
なんでそんなことも知らないのかと。
自分は王族としての勉強はしてきていても、普通一般の人が知っているような常識は知らないのだと、この船に乗ってはじめて自覚した。
だから何かを聞くことが怖かった。
また、そんな常識がどうしてわからないんだと、そんな目で見られるから。
「お前は難しい勉強ばっかしてきたから、まだそう言う普通の人間が知ってることを知らないだけだろ。知らないだけなら、知ればいいんだ。知ればお前は、今みたいにちゃんと理解できんじゃねーか。」
嫌いな人参だって、ちゃんと食べることが出来ただろ。
未だ素直に伝えることは出来ないが、そう言って笑いかけてくれるユーリが、ルークには嬉しくて仕方が無かった。
今だってもうそろそろ耐えられなくなって、手を払いのけてしまったけれど……。
でも、ユーリはその態度にもフッと軽く微笑んで、そして「また明日にでも、一緒に町に行くか、お坊ちゃま。」と誘ってくれた。
「お坊ちゃまって言うな!ルークでいいって言ってるだろ!」
「へいへい、じゃぁ明日は商店街でも案内してやるよ、ルーク。」
「しょ、しょうがねーから案内されてやるよ!」
売り言葉に買い言葉。それでもルークの顔は自然とほころんでいた。
そんなルーク自身も気づいていない笑顔を確認すると、ユーリは席を立つ。
そして自分の食器をさげ、じゃぁな、と軽く挨拶をして去っていった。
「ほんとに、可愛いッたらねーな。」
自分の背後でウィーン、と食堂の自動ドアが閉まる音を聞きながら、ユーリはそう言って一人愉悦を浮かべた。
「あ、ユーリ!」
食堂からでて来たユーリに先ほどまで食堂でルークの陰口を言っていたメンバーが複数人、声をかけてよってきた。
「さっきから食堂で大きい声聞こえてたけど、またルーク?」
若干嫌そうに顔をゆがめて言う相手に、ユーリはまぁな、と軽く答える。
「ユーリが優しくするからああやって付け上がるんだよ。しっかりお前の事は迷惑って言った方がいいんじゃない?」
嘲笑しながらそういってくる相手に、ユーリは笑いがこみ上げてくるのをぐっとこらえた。
けれど本当に、おかしくて笑いたくなる。
口をあければ、ルークの悪口ばかりを言う目の前の人間達が、ユーリは滑稽で仕方が無かった。
(本当に、なんて勿体無いのだろうか。
本当はあんなにルークが素直な事も、実は心根が優しくて真面目な事も、めったに見せない笑った笑顔が、とても綺麗で愛らしいことも。
俺以外には、誰も知らないなんて。)
「そうだな、さっきも、人参は嫌いだってわめくし。」
ユーリの話を聞きながら、相手はそうだろうと頷いた。
(けれど、それは俺以外知らなくていい。)
「それに、俺が明日街につれて言ってやるって言ったのに、しょうがねーから案内されてやる、だしな。」
きっと知ってしまえば、ルークに魅かれる人間が増える事を、ユーリは理解していた。
だから、こうしてルークの風評を自分が流すのだ。
今までも、これからもずっと。
「うわ、さいってー。ルークの事なんて、もうユーリしか相手にしてくれないんだって解って無いのかね。」
「ま、俺が好きでかまってるだけだしな。」
「ユーリってば偉すぎ。そんな風に言っちゃって。」
「馬鹿丸出しの我侭お坊ちゃまの相手なんて、こっちは絶対にごめんだってのに。」
馬鹿はお前らだ。
相手の本質を理解できないなんて、可哀想で涙が出てくる。
ルークの言葉も行動も、その表情も、良い行いは全て歪曲して最低なものとして伝えてきた。
そんな俺の言葉に惑わされ、こいつらはいとも簡単に操られてくれる。
「でも本当に困ったら、いつでも言ってくれよ!ユーリにもうちょっかい出すなって、俺達も一緒に言うからさ!」
けれど、それでいい。
「あぁ、解った。ありがとよ。」
このままでいいんだ。
俺以外にルークのよさを知る人間など、この世に必要ない。
俺だけがお前を理解して、俺だけがお前の味方でいればいいんだ。
それなら、最後にお前がすがるのは、俺しか居なくなる。
誰も、俺からお前を奪うような奴だって居なくなる。
お前は、俺だけの物になる。
余りにも甘美なその様子を想像して、ユーリは悦に浸った。
もう俺以外、何処にも逃げ場なんて無いんだ、ルーク。